タッチアップの存在は知ってるけど、細かいことはよくわからないという方も多いかと思います。
なので今回は、
ルール的な意味で「タッチアップが成立するシチュエーション」と、
「現実的にタッチアップするべきタイミング」
の大きく2つに分けてお話ししたいと思います!
タッチアップが成立する条件
タッチアップをするには、ノーバウンドの打球がキャッチされたタイミングから進塁が出来るようになります。
例えばランナーが3塁に居たとして、守備選手がフライをキャッチする前にランナーが離塁してしまうと、守備側は3塁ベースに送球することでランナーをアウトに出来ます。
その場合、ランナーはホームベースに帰っても得点と認められませんのでギリギリ捕球されるタイミングを見計らってスタートを切る必要があるということです!
ちなみにノーバウンドで捕球された後ならなんでもいいので、「1塁ランナーが2塁」に進んでも、「3塁→ホームベース」に進んでもOKです。
打球も「普通の外野フライ」でも「ライナー」でも「内野フライ」でもどこでもOKですので、塁上にランナーが居るときは常に気を抜かないようにしましょう!
ファールボールのフライをキャッチしても同じくタッチアップが認められるので、捕球体制が悪かったり、ファウルゾーンの深い所に飛んでしまった時はあえてキャッチせずに見逃すという選択肢もあるので覚えておくと良いでしょう。
ランナーとしてもこれを覚えていると「まさかただの内野フライでタッチアップはしてこないだろう」という相手の油断を突けます。
特にルールをまだ理解しきれていない学童野球レベルではかなりの確率で成功するので、相手チームにやられない為にも分かりやすく教えてあげるとレベルが1個上がりますね!
あと、これは滅多に無いケースですがインフィールドフライでもボールインプレーですので、タッチアップは成立します。
ランナーがスタートしていいタイミングは「キャッチした時」と言いましたが、じゃぁ完全には捕球せずお手玉のようにして運んだらどうなるのか?
と疑問に思ったので調べてみると、わざと捕球タイミングをずらそうとしても無駄らしいのでお気をつけ下さい(笑)
そんなセコいことやってエラーでもした日にはしばらく試合に出させてもらえなくなるのでやめときましょう。
以上がタッチアップが認められる条件です。
ちなみに、1塁ランナーがヒットだと思って2塁を蹴り、3塁に行こうとしてる途中でフライアウトになった場合も、元いた1塁まで戻らないとボールが返ってきた時点でアウトになります。
1塁に戻ってくる時も、2塁ベースを踏んでから戻ってこないといけないルールもあるので、忘れずに踏んで帰りましょう!
フェイントを使ったトリックプレー
フライアウトだったら戻らないといけないという規則を利用したトリックプレーもあります。
例えばこの動画のように完全に頭の上を越されているが、余裕でキャッチ出来るような仕草をすると…
普通だったら2塁にいたランナーは帰ってこれるところを、3塁までの進塁に留めています。
ランナーはノーバウンドでキャッチされたら2塁に戻らないといけないので、ボールが落ちるのを確認するまでベースから離れられず、点が入らずに済んだということです。
フェンスのある球場で試合をすること自体あまり無いと思うのでプロ以外では見ないプレーですが、 「フライボールが来たら戻らないといけない」というルールは覚えておいて損はないでしょう。
現実的にタッチアップするべきタイミング
以上、タッチアップが成立する条件は結構ゆるいとお話しましたが、実際にはそう簡単に出来るものじゃありません。
現実的にどんなシチュエーションならタッチアップを狙うべきなのか?についてお話ししていきます。
「3塁→ホームベース」へのタッチアップ
頻度としては、外野フライの時に3塁ランナーがホームベースにタッチアップするケースが多いです。
普通の犠牲フライというやつですね。
意表を突くプレーじゃなければ、捕球ポイントと遠ければ遠いほどタッチアップの成功率は当然高くなってくるので、ホームベースが一番遠いので当たり前といえば当たり前です。
更に言うと、ホームベースへのタッチアップは私達の感覚以上に絶大な効果があります。
状況別得点確率(2004年~2013年 NPBを対象)
状況 走者なし 一塁 二塁 三塁 一二塁 一三塁 二三塁 満塁 無死 25.2% 40.6% 58.9% 81.5% 60.4% 83.1% 83.6% 83.7% 一死14.5% 26.0% 39.6% 62.9% 40.8% 63.6% 65.2% 64.7% 二死 6.0% 12.0% 21.1% 26.5% 22.5% 27.2% 27.1% 31.4%
↑上記は状況ごとの得点確率のグラフですが、「2死3塁」の確率を見て下さい。
たったの26.5%しかりません。
つまり「1死3塁」の状況でフライが上がったら、タッチアップしなければどっちみち点が入る確率は物凄く低くなってしまうので、多少無理をしてでも走った方が良いタイミングと言えるでしょう。
逆に、「無死3塁」の状況ではフライで打者がアウトになったとしても、依然として62.9%も得点確率があるので状況を見て判断する必要があります。
1点を取りたい気持ちも分かりますが、無謀な賭けをしてランナーまでアウトになってしまったら「2死:走者なし」。
得点確率6.0%と、絶望的な状況になってしまうのでよくよく考えましょう。
上記のように、タッチアップはどっちに転んでもアウトカウントが2個進んだり点が動いたりする非常に重要な場面になるので、サードコーチャーに信頼できる人に付いてもらい、その指示に従うのが一番良いかなと思います。
自分で判断する場合は行くべきか?そうでないのか?を瞬時に判断できるよう、普段の練習からイメージトレーニングしておくと良いでしょう。
「2塁→3塁」へのタッチアップ
もう一つ、よくあるタッチアップは2塁→3塁へのタッチアップです。
打球は基本的にライト方向へのフライの場合が多いですね。
これも3塁ベースとライト方向の距離が離れているので比較的成功率の高いタッチアップです。
※注意
「3塁→ホームベース」に進もうとするランナーは全ての外野手が対応しますが、ライトは「2塁→3塁」に進もうとするランナーへの対応をすることも多いので、イチローが配置されてることが多いです。
なので「2塁→3塁」にタッチアップするときも、先ほどの統計グラフや状況を見て無理してでも行くべきか?そうでないのかを判断する必要があります
それを見ると、
「1アウト2塁」→「1アウト3塁」になった時は20%以上得点確率が増えますが、
「2アウト2塁」→「2アウト3塁」になった時は5%ほどしか増えないので、ホームベースへのタッチアップと違って1アウト2塁の時にこそ頑張るべきといった感じですね。
とはいえ、失敗した時は同じく「2死:走者なし」、得点確率6%になってしまうのでホームベースに行くときよりは全体的に消極的で良いでしょう。
以上、現実的にタッチアップするべきタイミングとしては、
・外野フライ時、3塁→ホームベースに行くとき
・ライト方向フライ時、2塁→3塁に行くとき
上記の2つくらいかなと思います。
1塁→2塁に行くときは、2塁ベースがほとんどの野手の中心に位置してるのでまず成功しないでしょう。
上記の2つと比べて成功した時のリターンも少ないので現実的とは言えません。
あとは、先ほど話した「まさかただの内野フライでタッチアップはしてこないだろう」という油断を突くタイミングなど、状況を見て判断するといった感じですね。
まとめ
以上、タッチアップについてでした。
まとめると、
・ボールがキャッチされてからじゃないとタッチアップは認められない
・積極的に狙うべきタイミングは、「2死3塁→ホームベース」と「1死2塁→3塁」のタッチアップ
という感じです。
試合を左右することの多い重要なプレーなので、ヘッドスライディングの練習をしたり、どのくらい深ければいけそうなのか?などの感覚を普段からやしなっておくと良いでしょう。
相手チームのシートノックで外野の肩の強さを覚えとくのもいざという時の判断材料になりますよ!