ピッチャーの実力が一目で分かる?防御率とその計算方法とは?

ピッチャーの実力が一目で分かる?防御率とその計算方法とは?

野球において防御率(ERA)は最も重要な統計データの1つです。この数値はピッチャーの活躍度が一目で分かるので他の選手と比較するための有用な指標になるでしょう。

今回の記事では、防御率とは何か?どのように計算されるのか?についてお話ししていこうと思います!

 

 

この記事のまとめ

・防御率とは、ピッチャーが9イニング投げた時に許した自責点の平均値のことです

・防御率の計算はピッチャーが投げた総イニング数とその投手の自責点の総数によって計算されます

・「自責点」とはピッチャー以外の野手がエラーしなかった時に入った点のこと。ピッチャーの責任としてカウントされます。

・非自責点は守備陣のエラーやパスボール(キャッチャーのエラー)などのこと。投手の防御率には影響しません。

 

 

防御率とは?

防御率とはピッチャーが1試合あたりに許した「自責点」の平均数を表すデータの1つです。

プロ野球は9回まであるので、9イニングあったらどれだけ失点したか?ということになります。

 

 

防御率の計算方法

防御率はピッチャーが投げたイニング数とその投手が許した自責点の総数で計算しますが、もちろん1回から9回まで1人のピッチャーが完投することは少ないので平均値を計算することになります。

 

具体的な計算式は「自責点÷投球イニング数×9」。

自責点をイニング数で割ると1回あたりにどれだけ失点したか?が分かりますので、それを9倍することによって1試合あたりの防御率が測れます。

 

一般的に防御率は小数点以下2桁まで表記されます。(例えば大谷翔平の2022年度の防御率は2.35)

 

 

自責点と非自責点について

野球はピッチャーvsバッターのタイマン勝負ではないので、チームの守備によって得点が大きく左右されることは多々あります。

その点防御率はピッチャーだけの統計データなので「自責点」のみを評価対象とし、「非自責点」は防御率に反映しないことにしています。

 

自責点とは?

純粋にピッチャーがヒットを打たれるなどして点を取られた時にカウントされます。

イニング中にピッチャーが交代されても、自分が投球をしていた時に出塁を許してしまったランナーが点を取ったなら自責点としてカウントされます。

 

非自責点とは?

チームの守備陣がエラーをしたりパスボールをした時に点が入っても自責点にはなりません。つまり、ピッチャーの防御率には影響しないという意味ですね。これにはピッチャーの守備エラー(バント処理のミスなど)も含まれています。

一方でボークやワイルドピッチなどピッチャーの投球中に起こったエラーであれば自責点になってしまうので覚えておくと良いでしょう。

 

 

防御率は低ければ低いほど良いピッチャー

たまに防御率が高いほうが良いピッチャーだと勘違いしている方も居ますが、上記の通り防御率が低ければ低いほど敵チームに点を取られにくいということなので、防御率が低い方がピッチャーとしては優れています。

打率、出塁率、盗塁数など他の統計データは数字が高ければ高いほど良いものですが、防御率が高いピッチャーはあまり活躍していないという意味になります。

味方チームのエラーなどは関係していないデータなので、ピッチャーの実力を測る上でシンプルかつ明確な指標と言えるでしょう。

 

具体的にどのくらい防御率が低ければ良いのか?については、野球のレベルによって大きく上下します。

例えば少年野球などではバッターの打線も繋がらず、上手い選手と下手な選手の差も大きいのでピッチャーの防御率は低いことが多いです。

現在のプロ野球の平均はだいたい3.50~4.00くらいが平均値ですが、この数字は時代と共に変化し続けていますね。

・最優秀レベル:2.00以下
・非常に優秀:2.00~3.00
・平均以上:3.00~3.50
・平均:3.50~4.00
・平均以下:4.00~4.50
・微妙:4.50~6.00以下

 

 

先発と中継ぎ・抑えの防御率は違う

リリーフ陣や抑えのピッチャーは、先発投手と比べて防御率のスコアでは優位に立っています。

理由は簡単で、先発ピッチャーは1イニングの最初から投げますが、中継ぎのピッチャーはイニングの途中からマウンドに上がることがあるからです。もし既に出塁していたランナーが得点してしまっても、交代したピッチャーの自責点にはなりません。1アウトや2アウトを取った後なら尚更バトンタッチしたピッチャーが無失点で抑えることが容易です。

もう一つの理由として、抑えのピッチャーは1点も取らせずに試合を終わらせることが求められることが多いからです。

最後の9回裏だけ守護神として出てきて1イニングだけ投げるクローザーも、開幕から5~7回まで投げる先発メンバーも同じように計算されるので、必然的に中継ぎや抑えのピッチャーは防御率を低く保つことが出来ます。

 

 

よくある質問

歴代で最も低い防御率のランキングは?:1943年の巨人の選手「藤本 英雄」が投球回432.2、自責点35で記録した防御率0.73が歴代最高です。

2000年以降だと「(2011年)田中 将大 防御率1.272」「(2013年)田中 将大 防御率1.273」「(2021年)山本 由伸 防御率1.394」などがあります。

 

高校野球の防御率は?:バッターの打線が繋がりにくい高校野球では、よっぽどの実力差がない限り点が入りにくい傾向にあります。特に甲子園ではバッターに比べてピッチャーの実力が高いことが多いです。
1.00:優勝レベル
1.50:平均以上
2.00:平均
2.50:平均以上
くらいが最近の高校野球の防御率みたいです。といっても1回でも負けたら終わりの甲子園を目標にしている高校球児たちはプロとは戦い方が違うので、防御率はあんまり参考にならないかもしれませんね。

中学、少年野球でも同様に野球レベルが低いほど防御率も低くなる傾向にあります。

 

キャリア通算の防御率ランキングは?:2000イニング以上を投げて通算で一番防御率が低い選手は「藤本 英雄」の1.90。現役選手だと「岸 孝之」の3.09です。シーズンの最優秀防御率は選手の全盛期の時になりますが、キャリア通算となると新人時代や引退間際の投球も反映されるのであんまり気にしなくても良い部分ではあると思います。

 

防御率0.00はありえる?:試合ごとの防御率であればピッチャーが完封すれば達成できますが、シーズンを通してなら現実的にありえません。

 

ピッチャーが途中で降板したら残ったランナーはどうなるの?:イニングの途中でピッチャーが交代した場合、塁に残ったランナーは交代前のピッチャーが責任を持つことになります。つまり、そのランナーが何かしらの方法で進塁して点が入ると、そのプレー中のピッチャーではなくそのランナーを塁に出してしまったピッチャーの自責点となり、防御率が上がってしまうという訳です。
これはチーム内の他のピッチャーの成績によって別のピッチャーが影響を受けるということなので、防御率も完璧な統計データではないということですね。

 

統計データとしての欠点は?

防御率をピッチャーの実力として表すには欠点もあります。先ほど言ったように、1イニングだけ投げるクローザーも、開幕から5~7回まで投げる先発ピッチャーも同じように計算されるため、有利・不利があります。また、チームの守備力によっても出塁率や点の入り方は変わってきます。

 

ボークは防御率に影響しますか?

はい。ピッチャーのボークで点に繋がった場合、そのピッチャーの自責点としてカウントされます。

 

 

まとめ

以上、ピッチャーの防御率についてでした。

まとめると、防御率はピッチャーを評価するために一般的に使われる統計データですが、ピッチャー以外の要因で左右されることもあるので、100%実力を表しているものではないということです。

あくまでも防御率は平均的に他の選手と比べてどの程度優れているか?という指標の1つに過ぎません。

とはいえ、良いピッチャーは間違いなく防御率も良いので、現在も、そしてこれからも使われ続ける基準となるでしょう。

ちなみに2023年の大谷翔平の防御率は現時点で0.64だそうです。(笑)