野球の「暗黙のルール」を破るとどうなる!?

野球の「暗黙のルール」を破るとどうなる!?

野球に限らずですが、すべてのスポーツには目に見えない「暗黙の了解」が存在します。これは正式なルールとは違って努力義務や伝統のようなものです。

 

例えばバスケでは、試合終了間際にチームが大差で勝っている場合、クロックタイム(24秒以内にシュートを打たなければいけないルール)を目いっぱい使ってドリブルをするのが暗黙の了解とされています。

バスケでは既に勝利が確定しているにもかかわらず攻撃を続けるのは”失礼な行為”と見なされる訳ですね。サッカーでも同じく、勝敗が決まった試合で自分のスコアを上げようとするのは失礼だとされています。

 

この記事のまとめ

・野球にも選手やコーチが守るべき暗黙のルールがあります。これらの暗黙のルールは対戦相手へのリスペクトやスポーツマンシップの為に存在しています。

・暗黙のルールを破ると、報復死球や批判を受ける可能性があります。また、野球選手としての人格が疑われるでしょう。

・例として、「ホームランを打った後に大げさにガッツポーズをしたり、過剰に喜んではいけない」「ノーヒットノーランや完全試合を狙っている投手に対してはバントしない」などがあります。

・時代の変化とともに、暗黙のルールも変化していきます。

 

 

野球における暗黙のルールの歴史

暗黙のルールはずっと昔から存在しています。ただ、正式なルールではなくマナーのようなものなので内容は時代とともに変化してきました。

例えば野球の初期には「微妙なストライク判定や見落としについて審判と口論しないこと」「ホームランを打った後に過剰に喜んだりパフォーマンスをしないこと」などが暗黙のルールとして知られていました。

しかし、時代の流れと共に状況は変わっており、最近のプロ野球ではホームランを打てば優勝決定打じゃなくても常にパフォーマンスを行い、監督や選手たちが審判と口論することもよく見かけるようになりました。これらはもはや野球における「暗黙の了解」ではなくなったようですね。

 

今でもある暗黙のルールの例としては、

・5~10点以上リードしているチームは盗塁しない

・ノーヒットノーランや完全試合を狙っている投手に対してはバントをしない

・捕手のサインを盗み見てはいけない

などがあります。

どれも野球のスポーツマンシップを保つために大事なマナーと言えるでしょう。

 

 

暗黙のルールを破るとどうなる…!?

スポーツマンシップや対戦相手へのリスペクトの為に、暗黙のルールを守ることも野球において大切な文化の1つです。

 

もしこれらの暗黙の了解を守らなかった場合、選手やチームに対しての批判は避けられないでしょう。具体的には、相手ピッチャーから故意にデッドボールを投げつけられる可能性があります。

また、SNSで炎上したりマスコミから批判されたり人格攻撃をされれば精神的にもダメージを負うことになります。

もっとひどい場合だと、その場で選手同士の乱闘が始まることだってあります。

 

何度も言うように、暗黙のルールとはスポーツ文化を守るためにとても大切なことです。僕の学生時代の監督も試合のたびに「お前たちは相手が居なければ試合すら出来ないんだ。」と言って相手へのリスペクトを忘れないように、と教えられました。

 

高校野球なんかだと、

・打席に入る時、キャッチャーや審判の前を横切ってはいけない
・相手ピッチャーが投球練習をしている最中にダートサークルに入ってはいけない
・ゲームセットした後、勝っても負けても必ず全力疾走
・ホームランを打った後ゆっくり歩いて回ってはいけない
・ピッチャーは三振を奪ってもガッツポーズしてはいけない

などなど、中には一見くだらないようなルールもありますが、どれも1流の野球選手としてみんなから尊敬されるには大切なことなんだと大人になってから分かります。

 

引用元:https://president.jp/articles/-/59319?page=1

大谷翔平が高校生の時、目標達成のために書いたノートには「人間性」も含まれています。

 

 

暗黙のルールの例

・2002年8月6日に行われた西武ライオンズと大阪近鉄バファローズの試合で、近鉄監督の梨田昌孝は自軍のタフィ・ローズと本塁打王を争っていたアレックス・カブレラを敬遠する指示を出しました。これに対し、西武監督の伊原春樹は5回裏に10点差がついた時点で、高木浩之に犠牲バントをさせました。(記録が掛かっている中での敬遠、大差が付いた状態でのバントはタブー)

 

・2007年4月19日の東京ヤクルトスワローズと横浜ベイスターズの試合で、11点差がついた7回表に横浜チームの選手が盗塁をしました。(大差が付いた状態での盗塁はタブー)。ヤクルトの兼任監督でもあったキャッチャーの古田敦也は二塁への送球すらもせず、横浜チームのベンチに罵声を浴びせました。その直後の投球で、遠藤政隆が内川聖一に対してデッドボールをぶつけます。さらに続く村田修一にも初球から頭部への抜け玉を投げました。避けようとして村田が頭をかがめると直撃してしまったため、横浜チームもブチギレて両チームで乱闘が起こりました。

 

・2010年4月9日、千葉ロッテマリーンズの神戸拓光選手が3点ホームランを打ち、喜びのあまりガッツポーズをして、M字開脚のような変なポーズもとった。(ホームランを打った後過剰に喜んだりパフォーマンスをするのはタブー)。神戸拓光は次の打席でデッドボールをぶつけられたが自身は全く怒ることなくすぐに一塁へ歩き出した。だが、これを報復死球だと思った金森栄治コーチらが怒ってベンチを飛び出し、終いにはブルペンに待機していた両軍投手も集まっての一触即発となった。

 

・2010年6月5日、阪神タイガースの藤川俊介が5点差でリードした7回に盗塁を試みたことに対して、オリックス・バファローズ監督の岡田彰布が批判的な発言をしたことが報じられました。岡田監督は「5点差でな…。あれは大変なことをやってしまったな。こっちは負けを認めているのに」、「あしたも試合があるのにな」と発言した。(大差が付いた状態での盗塁はタブー)。守備側が無警戒だったこともあり、盗塁としては記録されませんでした。後に岡田監督は、この発言について、「こっちが(盗塁を)警戒もしてないとこに完全な侮蔑行為。(暗黙の了解を)知らなかったではすまない。やったらあかんことよ」と発言しました。

 

・2010年6月10日に行われた中日ドラゴンズと東北楽天ゴールデンイーグルスの試合で、中日の大島洋平が6点差がついた8回表にセーフティバントで出塁した。次打者の森野将彦に対しては厳しく内角を狙った投球が行われました。(大差が付いた状態でのバントはタブー)

 

・2015年4月25日の広島東洋カープ対阪神タイガースの試合で、藤浪晋太郎が広島先発ピッチャーの黒田博樹に対して3球連続で厳しい内角攻めを行った。黒田投手はこの行為に激怒し、藤浪投手に詰め寄りあわや乱闘の騒ぎになりました。(投手に対しての厳しい内角攻めはタブー)

 

参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8E%E7%90%83%E3%81%AE%E4%B8%8D%E6%96%87%E5%BE%8B

 

 

暗黙のルールとも言えないグレーゾーン

暗黙のルールの中でもグレーゾーンの部分も存在します。

例えばホームランを打った後のバット投げ。最近のプロ野球では当たり前の光景になりつつありますが、打たれたピッチャーや相手チームの心情を考えるとするべきでないと考える人も多いです。

よっぽど派手に投げなければ報復されることもないような”グレーゾーン”と言えるでしょう。

 

もう一つのグレーゾーンはサイン盗みです。実は1998年になるまでサイン盗みは禁止されていなかったので、プロ野球では日常的に行われていた情報戦でした。

高校野球でも1999年に正式に禁止されることになりましたが、サイン盗みがバレても審判に注意されるだけで、もし本当にサイン盗みをしていたとしてもそれを証明するのは非常に難しいため、グレーゾーンの領域としてこれからも残り続けるでしょう。

 

 

まとめ

以上、野球における暗黙のルールについてでした。今後もどんどん進化していってまったく新しい暗黙のルールが出来上がることでしょう。ですが、全ては野球のスポーツマンシップを保つために必要なことだと覚えておきましょう!

 

特に日本ではプロだけじゃなく、学生や草野球レベルであっても「野球」に対する熱意というか、本気度が物凄く強いです。なので、喧嘩のような雰囲気になったり相手チームを侮辱したりする人も中には居ます。

 

ですが、スポーツは相手が居ないと成り立たない競技。例え対戦相手であっても、それは敵ではなく同じ趣味を共有する「仲間」です。

そういったリスペクトを忘れないようにする為にも、暗黙のルールは存在しているのでしょう。