野球には右バッターと左バッターがいますよが、ほとんどの人は右バッターなので左バッターのことをよく分かってない方もいると思います。
なんとなく足のはやい技巧派なイメージでしょうか?
そのイメージはあながち間違いではなく、そういう感じのプレーヤーになりやすい理由があるのです。
今回は
『右バッターと左バッターの違い』
『左バッターに向いている人の特徴』
『左バッターになるための練習方法のコツ』
の3つを紹介していきたいと思います。
(ちなみに左打ちは”ピッチャーから見て”左側、右打ちはピッチャーから見て右側の打席に立っている方です)
右打ちと左打ちのメリット・デメリット
まずは右バッターと左バッターの違いから
1塁までの距離:左が有利
これは誰が見ても一目瞭然で左バッターが有利です。
時間にしたらほんの一瞬の差(平均すると約0.2秒ほど左バッターが速い)ではありますが、ギリギリのタイミングの時にその一瞬がアウトとセーフを分けることになります。
特に1塁までの距離が短い少年野球では右打席と左打席の少しの差が大きくなります。
学童野球より更に塁間の距離が狭いソフトボールでは『スラップ』という、走りながら打って内野安打を狙う変わった技なんかもあるみたいです!
打ってから1塁に走る動き:左が有利
右バッターはスイングしたあとに体が3塁方向を向いてしまいますが行かなくてはならないのは1塁方向です。
この時に時間のロスが生じてしまいますが左バッターは打った後1塁方向へ体が向くので自然に走り出すことが出来ます!
右バッターは強く降れば振るほど1塁に行くのが遅くなってしまうなんて明らかに不利ですよね。
ピッチャーとの関係:一長一短
ピッチャーは右投げの選手が多いですが、右バッターから見た右ピッチャーの投球は背後からきて外へ逃げていくような軌道になるので打ちにくいですが、左バッターだと顔の正面で見るような感じになるので右バッターに比べて見やすいです。
また、ピッチャーは左打者より右打者と対戦する方が多いので、慣れない左バッターに苦手意識を持っている人は少なくありません。
と、基本的にはピッチャーとの関係性でも左バッターが有利ということになりますが、
一番最悪な組み合わせは左VS左の時です。
左バッターからするとさっきの右vs右と同じように背後からきて外へ逃げていくような軌道になるので打ちにくいですし、左ピッチャーは数が少ないのでバッターも慣れておらず右vs右よりも更にバッター側が不利になってしまいます。
ということなので一長一短にしましたが基本的には左バッターが有利なシチュエーションの方が多いです。
ライト方向へ打つ時:一長一短
ランナーが1塁にいる時は3塁まで進めるためにライト方向への打球を狙いたい所ですよね。(レフト方向への打球ではランナーが2塁までしか行けないので)
この時に右バッターは難しい流し打ちをして右方向を狙わないといけませんが、左バッターなら自然に引っ張るだけでライト方向へ強い打球が飛んでくれるので比較的簡単です。
が、右バッターは流し打ちをするとボールを長い時間見てから打てるので変化球に対応しやすくなるなどのメリットがあるので、一長一短にしました。
はい、ここまで左打ちと右打ちの違いを説明してきましたが大体左バッターの方が有利ということになります。
実際プロ野球選手の左バッターのほとんどが右利きである事を見ても、左打ちに転向するのは合理的であると言って良いでしょう。
右利きが転向する時のデメリット
左打ちがおおむね有利なことは分かって頂けましたでしょうか?
でも『そんなに有利なら明日から左打ちに転向する!!』
というのは少し待ってください(笑)
左利きの選手は最初から左打ちだと思うので問題はありません。
しかし本来右利きの選手が左打ちに変更することについては色々とデメリットがあるのです。
『デメリットその1.バントが難しくなる』
バントは膝を使って・・・というのは鉄則ですが、ボールの勢いを受け止めたりの細かい動きは結局腕を使うことになるので利き手の方がやり易いですよね?
その微調整をするのはバットの中心側の手(右バッターなら右手、左バッターなら左手)なので右利き左打ちのデメリットと言えます
まぁ、膝を使う、バットから目を離さない、バットを手先で動かさないようにするなどの基本が出来ていればいるほど問題にならなくなるのかもしれません。
『デメリットその2.押し込みが弱くなる』
右打ちなら利き手で押し込めるので力強いバッティングが出来ますが、左打ちに転向するとどうしても弱くなってしまいます。
また、右利きの選手は基本的に右投げですよね?
投球動作で右から左に捻る筋肉が付いていますが左打ちの場合は左から右に捻る動作なので、右打ちに比べると当然パワーも落ちてしまいます。
つまり強い打球、ひいてはホームランを打つようなバッターになりたいなら右打ちのままが良いということです!
これは歴代ホームランバッターの右投げ左打ち選手の少なさを見ても、現代の傾向を見ても確定的に明らかになっていますね。
あの断トツの本塁打数を記録している王貞治さんも、”左投げ“左打ちです。
逆に、バットコントロールを主導するのは投手側に出てる方の腕です(左打ちの場合は右うで)
つまりミート力、バットコントロールを向上させてヒット量産型のバッターになりたいなら左打ちに転向した方が良いということになります!
あのバットコントロール超人のイチローも右投げ左打ちなので良い例ですね。
適正判断の方法
以上のメリット・デメリットを理解したけど、ヒット量産型か長打型か決めかねているという方や、初心者や始めたばかりで『そもそも自分がどっちに向いているのか分からない』という方向けに生まれつきの、身体的な適正の判断方法を紹介します。
1.利き目
ご存知の方もいるかも知れませんが、投手側に利き目がくると有利になります(利き目が左なら右打ち、利き目が右なら左打ちに適正があります)
利き目の調べ方は簡単です。
数メートル遠くの何かを見つめて指さしをして下さい。
そのまま片目づつ瞑ってみるとどちらかがズレると思いますので、しっかりと正しい位置を見ていた方が利き目です。
ほとんどの人は利き目が右と言われているので右バッターの多くは不利な方の目で戦っているということになりますが、利き目が左の方もいるにはいるのでそういう方には右打ちが向いています。
ちなみに利き手が左で利き目が右の、天性の左バッターとでも言うべき人間はたったの2%しかいないそうです。
一般人でそういう人を見つけたら野球部に拉致しましょう。
2.ぞうきん
ぞうきんを絞った時にどっちの手が上になるか、も見極めポイントの一つです。
右手が上にくるようなら右打ち、左手が上にくるなら左打ちの素質があるということです。
3.振ってみた感覚
今まで右でしか振ってこなかった人は左打ちをしてみて違和感を覚えるのは当然なので、これはどちらかというと初心者向けの話になりますが右と左両方でバットを振ってみて下さい。
振りやすい方に適正があると言って良いでしょう。
4.足の速い人
元々足が速いというのはそれだけで左バッター向きと言えます。
内野安打が右打ちより簡単なのは言うまでもありませんが、ただでさえ一塁に近いのに更に俊足となれば相手チームに与えるプレッシャーも相当なものです。
守備の乱れを誘うという意味でも足の速さは左打ちの利点を最大限に活用出来る素質になります。
以上、『右打ちと左打ちのメリット・デメリット』『右利きが左に転向する場合のデメリット』『身体的な適正』など色々と説明して参りました。
判断材料はたくさんあると思いますのでこれらを総合的に見て右打ちのままでいくのか?左打ちに転向するのか?を選択して下さい。
付け加えると、『もし左に転向して結果が出せなかったらどうしよう・・・』は悩むポイントではありません。
今どこかで草野球をやっている人は左打ちに転向していれば今ごろプロ野球選手になっていたかも知れませんし今プロの選手は左打ちに転向していれば草野球をやっていたかも知れないのです。
最終的にどっちが結果の出せるバッターになるのかは誰にも分からないので、望まない結果になったとしても本気でやったなら後悔することはないと思います。
左打ちが出来るようになるまでの時間
左に変更すると決めた方のモチベーションの為に言っておくと、意外と早く左打ちに転向出来るみたいです!(早い人で1か月も練習したら右打ちを超えてしまったという人もいました)
転向すると決めたらまずは左で素振りをすることになるのですが、
右打ちの方もずっと右打ちでいると体の筋肉などが左右非対称になっていくのでそれを是正するために左で素振りするのは効果的です。
どっちにするか決めかねている人は、右打ちのアンバランス矯正の為に左で素振りをしてたらいつの間にか様になっていたというのが一番良いかも知れません。
左打ちに転向するタイミングはもちろん早ければ早いほど良いですし小学生のうちに出来るのが理想ですが、大人になって草野球を始めてから転向したという人もいます。
投げる腕を転向するとなると年単位で時間がかかりますが、打つ腕を転向するならそこまでシビアではないという事ですね。
転向する為の練習方法とコツ
それでは左に転向すると決めた方向けに練習方法やコツなどを紹介します。と言ってもやる事自体は普通の練習とあまり変わりませんが。
その1.バットコントロールの練習
はい、素振りしましょう素振り。まずはバットを意のままにコントロールできるようになるまでひたすら素振りです。
野球を始めたばかりの頃を思い出して下さい。膝を低く、顎を引け、目線をブラすなだの色々教えられたと思いますがそれを左右逆にしてやれば良いだけなのです。
最初は思うようにできないのは当然ですがめげずに何度も何度もバットを振ってフォームを作っていきましょう。
そしてある程度の型が出来たらボールの位置を強くイメージして素振りをすると狙った場所にバットを出せるようになります。
バッティングティーのような物があれば思い通りの場所でバットが振れているのかどうか分かりやすいですね。
その2.押し込む力を強くする
上の方でも言いましたが右利きの選手が左打ちになると、どうしても押し込む力というのは弱くなってしまいます。
押し込みが弱く勢いのない打球しか打てないと分かれば守備は前進してきますのでせっかくの左バッターの長所である、足を活かした内野安打なども難しくなってしまうのです。
なので勢いのある打球を打つ方法を2つ紹介します。
左手を鍛える
身もふたもないですね(笑)
鍛えるというのは筋力はもちろんですが左手の”感覚”を鍛えるというのも大事です。
具体的なトレーニング方法は以下の通り
・左手で歯を磨く
・左手でスマホをいじってみる
・左手で文字を書いてみる
・左手でコップを持つ
などなど。
一気に全ての動作を左手でやろうとするとかなりの精神的ストレスがあるのでやりやすい大雑把な動作からでも良いのでやってみて下さい!
押し込みの”感覚”を覚える
利き手での『押し込む感覚』をそのまま左手側でも出来るならそれで良いですが、なかなか難しいと思うので動画などで再確認すると良いでしょう。
今までは無意識にやっていたことかも知れませんがこうして理論的に解説されている動画を見て意識することで感覚のコツを掴めるかも知れません!
まとめ
以上、右打者と左打者についてでした。
『判断材料が沢山ありすぎてどっちにしようか迷ってしまう・・・』という方には上でも紹介した通り、右打ちのアンバランス矯正の為に左で素振りをしてたらいつの間にか様になってたコースがオススメです。
これなら左打ちに転向するのを途中でやめたとしてもデメリットは無いので。
ただし左打ちに転向すると決めたら左打ちの練習をして下さい。どっちも中途半端になることだけは注意しましょう。
おまけ:なんで左投げ右打ちは少ないの?
左投げということはおそらく左利きなのでその時点で数が少ないです。
そして今回紹介した通り左打ちは基本的には有利なのですが、左利きの人は野球をはじめた時から左打ちだと思うので、わざわざ右打ちに転向する意味がうすいので左投げ右打ちの選手はプロを見ても圧倒的に少数派なのかなと思います。
左利きなら、右利き左打ちの大きなデメリットである『利き手での押し込みが弱くなる』という事も無いので。
以上で終わります。