「ノーアウトでランナーが出たら送りバント」
これは昔からずっと受け継がれているセオリーなので、疑問に思う事もあまりないと思います。
(というか、監督が「バント」のサインを出したら選手としては従うしかない訳ですが…)
実はこの送りバントですが、統計学的に否定されつつあるのでそのことについてお話ししようと思います。
送りバントは意味ない
まず送りバントの本質を考えて欲しいのですが、なぜ送りバントをするかと言えば、「なるべく点を取りたいから」。
これが最重要の目的になります。
野球はより多く点を取ったチームが勝つスポーツですから当然ですよね?
その点を取るための手段として送りバントは効果的だと考えられていましたが、それが実は間違っていたというのが今回の内容です。
以下の表は、ノーアウト1塁のケースで取った作戦によって、1イニングの総得点がどうなったかというグラフです↓
実力の差があまりないプロ野球の、4000件近くの統計を取ったグラフらしいので信ぴょう性は高そう。
見てわかる通り、送りバントと普通に打った場合を比べたら、点が入る確率はほぼ同じという結果になっています。
つまり送りバントで「一点を確実に取る」効果は無いとのことです。
これは私も意外でしたが、統計としてそうなってるので信じるしかありません。
2塁まで進んだランナーが、一発で帰ってきて点を取った時の印象が強く残ってしまうので、なんとしてでも2塁まで送ったほうが点をとりやすいと感覚的に思っちゃうのかも知れません…
こちらは別のデータですが、
「無死1塁」と「1死2塁」の得点確率はほぼ変わらないという統計もあります。
送りバントは「無死1塁」→「1死2塁」にするだけなので、やはり統計学で見たら送りバントはしない方が良いだろうと考えるのが正解です。
実際に野球先進国のメジャーでは送りバントをすることも少ないですし、2番バッターに強打者を置くパターンも多いです。
感覚的には納得しにくいですが、「なんとか1点を取りたい」という場合でも普通に打ったほうが良いということになりますね。
総得点は更に差が出る
「少なくとも1点」を取る確率はほぼ同じということが分かりましが、「総得点」では大きな差が開いてしまいます。
作戦ごとの総得点の図↓
送りバントとヒッティングの「イニング総得点」を比べると、実に0.13点もの差があります。
つまり、無死1塁の場面が来たとして、毎回送りバントをするチームと毎回ヒッティングをするチームでは8場面ごとに1点の差がついてしまうということです。
進塁率では81.6%と、選択肢の中では一番高い数値になっていますが実際の得点には繋がりにくいようです。
じゃぁ送りバントは封印したほうがいいのか?
じゃぁ、点が入る確率も、総得点の量も低い送りバントはもうやらないほうがいいんじゃないのか?というのは少し早計です。
今回参考にさせてもらった統計はあくまでもプロのものなので、草野球や少年野球レベルでは話が変わってきます。
例えば、1点を追う場面で無死1塁の状況になったとします。
打席に立っているのは打率2割以下の選手で、次のバッターが打率4割だったら送りバントをした方がいいのは誰の目にも明らかですよね?
プロのようにバッターの性能に差があまりないなら統計を見てバントの封印もアリかも知れませんが、選手層の薄いアマチュアでは、チーム内でバッティングの上手さに大きな差が開いてることが多々あります。
つまり、さっき言ったような場面では全然打てない選手でも、送りバントを使えば無駄になることはないというメリットがあります。
打線が繋がると言い換えても良いでしょう。
ピッチャーなど、あまり替えの少ないポジションのレギュラーでバッティングが上手くない選手にとっては、まだまだ実用的な作戦なので日ごろ練習しておきましょう!
逆に、バッティングの上手い選手は今回紹介した統計通り、1点を取る場合も2点以上の期待値効率を見てもヒッティングしたほうが良いということなのでそうしましょう。
まとめ
以上、送りバントについてでした。
まとめると、
・1点を取る確率は打った時とほぼ同じ
・2点以上を取る確率は打った方が高い
・ただし、条件によっては送りバントが有効な場合もある
といった感じです。
基本的には送りバントが出来る場面でも、ヒッティングしたほうが有利になることが多いということです。
それでも未だに送りバントを使いたくなってしまうのは、感覚の面が大きいんじゃないかと個人的には思います。
私達が思っている以上に、進塁の価値より1OUTの価値が高かったということでしょう。