メジャーリーグの試合ってなんで中途半端な時間に始まるの?

メジャーリーグの試合ってなんで中途半端な時間に始まるの?

MLBは毎年4月~10月にかけてのシーズン中、試合がなんと約2400回も行われています。日本プロ野球と比べると約3倍ですね。

これだけの試合数を放送するとなればテレビ局やラジオ、広告スポンサー、そしてチケットを買って球場に足を運ぶ野球ファンのニーズを考えると問題が発生する可能性があります。

 

では、メジャーではどのようにしてその問題をクリアしているのでしょうか?

 

ネットでMLBの試合開始時間を見ると分かりますが、ほとんどが時間ジャストではなく5分,7分,8分,10分にスタートします↓

引用元:https://baseball.yahoo.co.jp/mlb/schedule/

 

ということで今回は、どうしてメジャーリーグの試合はこんなにも中途半端な時間に開始されるのか?についてお話ししていこうと思います!

 

 

メジャーリーグのスポンサー関係

前提として、現在のメジャーリーグでは全国放送の試合を除いてホームチームが自分たちで開始時間を選ぶ自由と権限が与えられています。

 

それではまずスポンサーとお金のお話しから始めましょう。1939年のワールドシリーズはニューヨーク・ヤンキースvsシンシナティ・レッズとの対戦となりました。

※ワールドシリーズとは、アメリカンリーグとナショナルリーグのそれぞれの優勝チームが戦います。日本でいう所のセ・パの1位同士が争って王座を競うような感じ。

 

 

3連覇中のニューヨーク・ヤンキースと八百長事件で1919年のシリーズ以来出場していなかった20年ぶりの出場となるレッズとの対戦カードなので、とても盛り上がったそうですね。

その年にGillette Razors社が独占ラジオ放送権を100,000ドルで買い取り、その対価として試合開始時間や内容、担当アナウンサーにまで意見する権利が与えられました。

それ以降、スポンサーが試合の開始時間に口を出すという流れが出来上がったようです。

 

 

テレビの普及

1939年以降も基本的にはまだ〇時ジャスト、あるいは〇時30分などキリの良い時間にスタートしていました。しかし、テレビの普及により状況は一変します。

 

1976年、CNNテレビの創業者であるテッド・ターナーはナショナルリーグのチーム「アトランタ・ブレーブス」を買収し、自分の放送局(WTBS)で試合を放送することにしました。

そして「アトランタ・ブレーブス」の試合開始時間を〇時5分にして試合が始まる前に広告を流すことにより、試合中広告を差し込まないようにしました。

このようにしてメジャーでは〇時ジャストではなく数分後にプレイボールするようになっていったようです。

 

 

メジャーの試合時間を決める要因

1.スポンサーと広告
日本プロ野球や他のスポーツと同じく、メジャーもボランティア活動ではありません。利益を追求するビジネスの1つです。

大手ブランドや企業がチームをスポンサードしてお金を出している以上、試合が始まる前に自社のコマーシャルやら広告が流れるようにします。上記の通り、これが試合の開始時間に大きく関わっています。

 

2.地元や地域の問題
ホームチームは試合の開始時間を選ぶことができるため、通勤時間やファンのアクセスに応じて調整することがあります。

交通網がパンク気味な大都市のスタジアム(ドジャースタジアムなど)では、交通状況に合わせて試合時間が遅れることもあるそうです。

ちなみに、ドジャースタジアムのあるロサンゼルスは車社会で渋滞がおこりがち。座席が完売しているのに空席があったりするのは、まだ駐車場にいる人がいるからだそうです(笑)

 

3.試合前のセレモニー
メジャーでは1945年以来試合開始前のセレモニーとして国家を演奏しています。加えて、ファンや有名人などによる”始球式”も伝統文化として行われます。選手の紹介や出席している特別な人物の表彰などもゲーム開始前に行われます。

これらのイベントに時間がかかりそうな時は〇時10分などに開始時間がずれ込んでいくことになります。

 

 

中途半端な時間に始めるメリット

中途半端な時間に試合が開始することは、チームとファンの両方にメリットがあります。まず、何度も言うようにチーム側にとっては試合が始まる数分間でコマーシャルを入れるなどの収益化が見込めます。

また、その他バスケやアメフトなどのスポーツを見終わった人たちがチャンネルを切り替える時間に合わせて試合時間を変更したりも出来るという事です。

 

 

中途半端な時間に始めるデメリット

このメジャーの珍しい試合時間のシステムにはデメリットも存在します。それは、ファンや選手たちは事前の告知や同意なしに試合時間を強制されることがある、という点。

例えば2006年からホワイトソックスのスポンサーについたセブンイレブンは、3年間の試合を全て「07:11」に開始するよう、年間50万ドル払って契約しました。

 

たかが数分とはいえ、試合の開始時間が遅くなればなるほど色んな人への影響は出てくるでしょう。

 

 

Q&Aコーナー

Q.なぜメジャーの試合は時間ジャストに始まらない?
A.もともとキリの良い時間で始まっていましたが、上記の通りテレビやラジオの要望に応える為、もっと言うとスポンサーや広告主のために5~15分ほどずらして試合を開始するようになりました。

 

Q.観客の動員数とか試合の注目度は関係あるの?
A.試合のチケット販売数やら観客の動員数は試合の開始時間とか関係ありません。

 

Q.メジャーの試合時間はどのくらいの長さですか?
A.2022年の平均時間は3時間3分でした。一番短くて2時間17分、最長で5時間24分の試合もありました。

 

Q.他のアメリカのスポーツもこんな感じの時間に始まるの?
A.はい。アメフトやバスケなども〇時05分などの珍しい時間に試合が始まります。メジャーと同じく他のスポーツでもテレビやスポンサーとの契約があり、視聴率が伸びる試合開始直前に広告を流す必要があります。

 

まとめ

以上、メジャーの試合が中途半端な時間に始まる理由についてでした!

 

大谷翔平が何十億円もの年俸を貰えるのも、スポンサー企業やファンの支援があるからこそ。

試合が始まる前にCMやら宣伝やらを流すために時間を数分間ずらすくらいなら非常に合理的と言えるでしょう。

 

映画館でも放映が始まる前の数分間は広告やら宣伝が流れるので、それと似た感覚だと思います。