アイシングは逆効果!?正しいやり方と本当に必要なタイミングは?

アイシングは逆効果!?正しいやり方と本当に必要なタイミングは?

みんな当たり前のようにやってるアイシング。

でも逆効果になることもあるって知ってましたか?

今回は正しい使い方や効果的なタイミングなど、アイシングについて解説していきます。

アイシングをする意味とは?

まず、そもそもなぜアイシングをするのでしょうか?意味は大きく分けて3つあります。

 

①炎症を抑える

冷やすことで血管が収縮し、腫れや内出血などの炎症を最小限に抑える事が出来ます!

また、内出血したり腫れたりすると患部周辺の正常な細胞まで圧迫され、破壊されてしまう事があるので速めにアイシングをして炎症を抑え、二次災害をふせぐといった効果もあります。

 

 

②痛みを軽減する

冷やす事によって痛覚を麻痺させて痛みを感じなくする意味もあります。

単純に痛みが無くなってくれるのはありがたいことですが、痛みを軽減するという事はつまり、痛みによって引き起される筋スパズムを軽減してくれる事も意味します。

筋スパズムを簡単に説明すると、痛めてしまった部位をそれ以上動かして悪化しないように筋肉を硬直させる人体の防御反応「筋ガーディング」がおこった時に、その硬直によって更なる痛みを引き起こし、また硬直し…という悪循環の事です。

 

 

③体温を下げる

当たり前ですが体を冷やせば体温が下がるので熱中症の応急処置などにも有効ですね。また、マラソンやサッカー、野球の投球動作など繰り返し行う動作によって部分的に上がりすぎた体温を下げる事も出来ます。

 

 

アイシングは逆効果!?

最初にも言いましたがアイシングが逆効果になってしまう場合もあるようです。

筋力とアイシングの関係性について 研究論文その1

アイシングを行わない場合, 投球前と比べた投球 24 時間後の肩関節内旋及び外旋筋力は有意に増大した(それぞれ p<0.05 と p<0.01).

しかしアイシング処置を行った場合, 投球 24 時間後の筋力の増大はいずれも認められず, 変化率でみると外旋筋力において減少が認められた (P<0.01).

出典:投球後のアイシングが肩関節に及ぼす影響より

まとめると、
アイシングをしなかった場合は肩間接の筋力はアップしたが、アイシングをしたら筋力アップしなくなってしまった」とのことです。

 

 

筋力とアイシングの関係性について 研究論文その2

本研究に用いた冷却は、筋力トレーニングによる最大筋力の増大に影響を及ぼさなかったが、筋持久力の向上を抑えた。このことは、運動後に行う活動筋の冷却が、持久的なトレーニング効果を減衰させる可能性を示唆し、明らかな傷害のない部位へのアイシングを行う場合には、その影響について配慮する必要があるものと推察された。

出典:運動後の冷却が筋力トレーニングの効果に及ぼす影響より

こちらもまとめると、
アイシングは筋トレによる最大筋力の増加には影響がなかったけど、持久筋の増加は減衰してしまった」と読めます。

 

 

これらの研究論文はどちらも検証人数が少なかったり検証期間が短かったりするものの、アイシングが筋力アップに何らかの悪影響を及ぼしていることは間違いなさそうですね。

・・・などと小難しい話をしてしまいましたが、患部を冷やして新陳代謝・血流を低下させるという事は、当然血液から運ばれてくる栄養も少なくなってしまうし、新陳代謝が低下するので筋肉の生まれ変わりも遅くなってしまうし・・・で、割と当たり前の事なのかも知れません。

 

 

アイシングと疲労回復

という事は筋肉の修復はもちろん、ケガの場合でも炎症を抑える事はあっても回復を促す事にはならないのでは?という疑問が出てくるかと思います。

が、正しいタイミングならちゃんと疲労回復に繋がるのでご安心ください!

 

治癒を早める方法その1.二次災害をふせぐ

上の「炎症を抑える」の欄でも解説しましたが、腫れ・内出血を引き起こしてしまった時には、患部周辺の正常な細胞まで圧迫され破壊されてしまう事があります。アイシングをして、このような二次災害を抑えることは結果的に回復を速めることにも繋がりますね!

 

治癒を早める方法その2.体を温める

アイシングとは真逆に、体を温めて新陳代謝・血流を向上させて栄養・酸素を循環させて治療する方法がありますが、これをアイシングと交互に行うと、炎症を抑えつつ回復の促進が期待出来ます。また、体がアイシングで冷やされた温度を上げようとしている状態で温めるので、通常よりも更に効果が上がるともされています。

しかし炎症が起きている時に温めてしまうと逆に悪化してしまう事もあるのでまずは炎症を抑える事を第一に考えて、温めるのは腫れや炎症がある程度落ち着いてから行うと良いでしょう!

 

 

効果的なタイミング

これらの事を踏まえると、効果的なタイミングは

・捻挫などで腫れている時
・打撲などで内出血を起こしている時
・痛みがひどい時

などが主なタイミングです。

特にケガによる炎症は筋力アップとか関係の無い一時的な物なので使っても問題ありません。

マラソンや野球などで日常的にアイシングをしていると筋力の成長の妨げになっているようなので注意しましょう!

スポーツの場合は試合などで酷使してしまった日や、どうしても痛い時など限定的に使用するのをオススメします。

 

 

アイシングのやり方

それでは具体的なアイシングのやりかたを紹介します。

 

冷やす時間と期間

やりすぎると凍傷になってしまう事もあるので正しい仕方を覚えましょう!

ケガをしてしまった場合

ケガの場合はなるべく早くアイシングして下さい。特に捻挫など、後々腫れてくるのが分かりきっているような時は良いですが、悪化するかどうか分からないようなケガでも一応冷やしておきましょう。

1回につき15~20分が最適な冷却時間です。

この時間は冷やす部位によっても変わってきますが、(指先など体の細い部分ではもう少し短くても良い)大体、触ってみても感覚が無くなったら終了して下さい。

これを90分前後(1~2時間)の間隔を空けて行い、2~3日間ほど続けると良いでしょう。

スポーツの場合

マラソンやフィジカルトレーニング、野球の投球動作などの場合でも基本的には同じです。

運動後なるべく早くアイシングを初めて1回につき15~20分冷やしましょう

ただ、スポーツの場合はひどく腫れてくるような事も無いと思うので、翌日以降は様子を見ながら臨機応変に継続するかどうかを考えると良いでしょう。

どうしても痛い場合は筋スパズム(上のほうで解説しました)を防止する為にも、もうしばらくやっておいた方が良いかもしれません。

寝るとき

寝る前は、前回冷やしたタイミングから最低1時間以上経っているなら就寝前もアイシングして構いませんが、間違ってもアイシングをしたまま寝てしまわないように注意しましょう!

朝起きてみたら凍傷で腕が紫色に変色していた・・・なんてことになりかねませんから。

 

冷やし方

アイシングって言葉の響きはカッコイイですが結局の所は「冷やす」という意味なのでやり方は色々あります。

 

 

・氷嚢、アイスバッグ

一番オーソドックスで確実なアイシングです。

氷嚢の中に氷と、少しだけ水を入れて使ってください。フタをする時はムラをなくすために中に空気が入らないようにしましょう。

手で持ってずっと押し付けていても良いですが、サポーターやバンテージのような物で固定すると動きやすいですね。

足首の捻挫など腫れてくるようなケガの場合は少し強めに巻き付けて圧迫してあげると、より良いです!

 

 

・直接氷を当てる

色々用意するのが面倒な方には直接氷を当てるといった方法もあります。患部に氷を当てて動かすようにして冷やしてください。

凍傷の危険性も低く簡単ですが、びしょ濡れになってしまう欠点も・・・

しかもすぐに溶けちゃうので気休め程度ですね。

 

 

・バケツに氷を入れる

バケツに氷と水を入れて冷やすやり方です。簡単でムラなく冷やせますがこのアイシングのやり方は膝や太ももなどには向かず、

足・足首、肘、手・手首などの部位しか冷やせないので一長一短です。

(指先の突き指などの先端部位ならコップに氷と水を入れて代用可能)

 

 

まとめ

アイシング(体を冷やすという行為)は広く一般的に行われていますが、やりすぎれば凍傷の危険だってあるものなので今回の記事をよく読んで正しい知識を身につけましょう!

特に、高校生野球ピッチャーの半数近くがピッチング後アイシングをしているといったデータがあります。やり方によっては逆効果になるという事は覚えておかなければなりません。

日常的にやっているからこそ、自分たちが一体『何』をしているのか、きちんと把握しておく必要があるでしょう

アイシングは逆効果!?」の段落はちょっと注意深く読んでみることをオススメします!